パート労働者における給与収入別の税金、社会保険
1.妻の収入金額による適用関係(PART1)
夫がサラリーマン、公務員等で勤務先で社会保険に加入している。この場合に、妻がパートで働いた場合どうなるかの試算を行います。
妻の収入金額により夫の所得税、妻の国民健康保険料および国民年金保険料が変わります。
ただし、税金については所得税のみをカウントしています。
(1)給与収入0円以上103万円以下
【本人の税金】・・・・課税なし
【本人の社会保険料】・・・課税なし
【夫の税金】・・・・配偶者控除の適用
(2)給与収入103万円以上130万円未満
【本人の税金】・・・・課税が発生
【本人の社会保険料】・・・課税なし
【夫の税金】・・・・配偶者控除はないが、配偶者特別控除(注1)の適用がある
(3)給与収入130万円以上141万円未満
【本人の税金】・・・・課税が発生
【本人の社会保険料】・・・課税が発生(国民年金・国民健康保険共自己負担)
【夫の税金】・・・・配偶者控除はないが、配偶者特別控除(注1)の適用がある
(4)給与収入141万円以上
【本人の税金】・・・・課税が発生
【本人の社会保険料】・・・課税が発生(国民年金・国民健康保険共自己負担)
【夫の税金】・・・・配偶者控除・配偶者特別控除(注1)ともなくなる
2. 妻の収入金額による適用関係(PART2)
夫が自営業の場合に、妻がパートで働いた場合どうなるかの試算を行います。この場合妻が専従者でないことを前提とします。
【本人の税金】・・・・1とおなじです。
【本人の社会保険料】・・・もともと妻は国民年金の課税がある。国民健康保険は
世帯合算となる
【夫の税金】・・・・1とおなじです。
(注2) 社会保険における『4分の3ルール』
所定勤務時間が通常の社員の4分の3以上であれば会社の社会保険に加入しなければならない。
(注3)
3.国民年金
(1)国民年金の種類
国民年金には第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の三種類の加入種類があります。
【第1号被保険者】
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業従事者、学生などのこと。 第1号被保険者は、第2号被保険者や第3号被保険者と異なり、国民年金の保険料を全額自分で支払なければならない。
【第2号被保険者】
厚生年金保険の被保険者および共済組合の組合員のこと。民間企業のサラリーマンや公務員がこれにあたる。第2号被保険者の国民年金保険料は、厚生年金保険料や共済組合保険料として給与から差し引かれるため、別途支払う必要がない。
【第3号被保険者】
職場の年金制度に加入している第2号被保険者の被扶養配偶者。配偶者の年金制度から差し引かれるため、自身は保険料負担の義務がない。
第3号被保険者は、保険料の納入者である配偶者が退職するなどした場合に、第3号被保険者としての資格を失い、新たに国民年金に加入し直す必要がある。
(2)妻の国民年金
① 夫が国民年金等の第1号被保険者である場合は妻も第1号被保険者となる。
② 夫が国民年金等の第2号被保険者である場合は妻は自分の給与収入に応じて第1~3号被保険者となる。
4.まとめ
(PART1)のケース
(1)妻の給与収入別優遇措置の有無
優遇措置 | |||||
---|---|---|---|---|---|
優遇措置の対象者 | 給与の控除項目 | (1) | (2) | (3) | (4) |
0円以上 103万円以下 | 103万円超 130万円未満 | 130万円以上 141万円未満 | 141万円以上 | ||
夫 | 所得税 | 配偶者控除 | 配偶者控除 | 控除なし | 控除なし |
妻 | 国民健康保険 | 被扶養者 | 納税 | 納税 | 納税 |
妻 | 国民年金 | 第3号 | 第1号(納税) | 第1号(納税) | 第1号(納税) |
(2)具体例(夫(年収500万円)、妻、子供2人の場合)