国税庁担当官に聞く「年末調整手続の電子化」の概要と実務

1.事業主側の準備

① 「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」の提出
 ・従業員から受ける扶養控除申告書等は書面提出が原則だが、この承認を受けると電子データ提出が
  可能となる
 ・提出先は所轄税務署  ・提出月の翌月末までに却下の処分が無い場合は自動承認
② 年末調整計算ソフトの対応
 ・従業員から提出を受けた電子データを取り込む機能の確認

2.従業員側の準備

① マイナポータルの開設
② ※保険会社等から送付される控除証明書の電子化依頼  ※詳細については現在未定(2020年9月)
 ・控除証明書データをマイナポータルに届く様に設定(マイナポータルとの連携設定)
  ⇒マイナンバーカード&カードリーダー必要
 ・証明書発行体によってはHP(お客様ページ)からのダウンロードにより入手も可能
  ⇒マイナンバーカード不要
③ 国税庁が公開している「年調ソフト(無償)」のセットアップ

3.(電子化)年末調整の流れ 【 年末調整手続の電子化概要図 】

≪従業員≫
① 「年調ソフト」に住所氏名生年月日、扶養家族等の基礎情報を入力
② マイナポータルに届いた控除証明やHPからダウンロードした控除証明を
 「年調ソフト」にインポート(手入力も可)
  ※インポートした時点で所得控除、税額控除が自動計算されるため事業主側では検算不要
  ただし、①の基礎情報登録時点で所得も自己申告で登録しているため、この時点でミスが
  あると所得制限のある控除関係に間違いが生じる可能性がある。
③ 「年調ソフト」から事業主へ提出用のデータ(扶養控除申告書等)をエクスポート、
  メールやUSB等にて提出 ※電子化したメリットは無いが書面印刷機能もあるので紙提出も可能
≪事業主≫
④ ③で提出を受けたデータを年末調整計算ソフトにインポートして年調処理を行う
⑤ 1.-①に承認に基づき③の扶養控除申告書等のデータを電子保存

4.補足

 年調の電子化をした場合、全ての書類を必ず電子データで取得、提出しなければならない訳では無く、
 書面提出も可能(証明書発行体が電子化に対応していないケース等)

2020年10月12日