定年を延長した場合に、その延長前の定年に達した従業員に支払った退職一時金については、旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、その支払いをすることにつき相当の理由があると認められる場合には退職所得として認められます。
所得税基本通達30-2(5)においては、次の定めがあります。
所得税基本通達30-2
(引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの)
引き続き勤務する役員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち、次に掲げるものでその給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは、30-1にかかわらず、退職手当等とする。
(5)労働協約等を改正していわゆる定年を延長した場合において、その延長前の定年(以下この(5)において「旧定年」という。)に達した使用人に対し旧定年に達する前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与で、その支払をすることにつき相当の理由があると認められるもの
したがって、これに該当するようなケースでは退職所得として認められることになります。
また、国税庁の文書回答事例においても以下のような場合は相当の理由があるものとして認められると回答しています。
「…旧定年のときに本件退職一時金が支給されることを前提に生活設計をしており、定年延長に伴い本件退職一時金の支給が65歳になると不都合が生じるため、定年を延長する場合においても旧定年のときに本件退職一時金を支給するように要求していること…」