監査役の監査範囲の限定

監査役の監査範囲の限定              2015.1.19

 平成26年の会社法改正(27年5月1日施行予定)により,監査役の監査範囲を会計に限定している会社は,その旨の「登記」が義務付けられる。
新会社法の施行は27年5月1日を予定

 会社法では,一定の場合,定款に定めることで「監査役の監査の範囲」を会計に関するものに限定できる。この場合,その会社は,法律上「監査役設置会社」には該当しないものの,登記上は区別されない。この点,監査役設置会社に該当するか否かで会社法上の規律が異なる点もあることから,登記上これを明確にするよう改正が行われた。具体的には,「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社」は,その旨を登記しなければならない(新会社法911③十七イ)。

 同改正では,企業負担を勘案し,改正法の施行(27年5月1日を予定)後,最初に監査役が就任,又は退任するまでの間は「登記」を要しないとする経過措置が置かれている。従って最長約10年間は「登記」が猶予される。ただし,その「登録免許税」負担までは考慮されていなかったようだ。

登録免許税の取扱い
 この監査役の監査範囲に係る「登記」に際し,通常の役員変更登記とは別途3万円の登録免許税負担が生じることが懸念されていたが,法務省が商業登記規則を改正したことなどにより,別途の負担は生じないこととなった。
 法務省では,商業登記規則等の一部改正に際し,監査役の監査範囲に係る登記が通常の役員変更登記と同一の区分である「カ」に該当することになるよう所要の手当を行っている(商業登記規則等の一部を改正する省令(平成26年法務省令第33号))。
従って,「役員変更登記」と併せて監査役の監査範囲に係る登記を行えば,役員変更登記に係る3万円(中小は1万円)以外に登録免許税負担は生じないため,最初に監査役が就任又は退任する際には,忘れずに監査役の監査範囲に係る登記も行いたい。

2015年1月19日