024.接待用の減価償却資産と交際費等の関係

交際費等の額は、一定額(損金算入限度額)を超えた場合、損金算入が認められません。
次の場合に、その経費が交際費等に含まれるのか否かについて検討したいと思います。
<処理1>
接待目的でクルーザーをレンタルし、そのレンタル料を交際費等として経費処理。
<処理2>
接待目的のクルーザーを購入し、その取得価額を減価償却費として経費処理。

論点①:クルーザーの取得時において、取得価額は交際費の損金算入限度額の計算対象となるか?
クルーザーを購入した時点では、『接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為』が行われていないため交際費等に該当しません。よって、交際費の損金算入限度額に影響を及ぼしません。
→交際費等の損金算入限度額の計算対象となるのは、支出した時点において接待行為が行われた支出です。

論点②:資産計上したクルーザーの減価償却費は交際費の計算対象となるか?
交際費の損金算入限度額の計算は、その支出が行われた事業年度に行うことになっています。減価償却費の計上は『支出』が行われた時点ではないため、交際費等には該当しません。
→減価償却資産の保有目的が接待行為であっても、減価償却費が交際費等に該当することはありません。

<処理1>の方法によれば、クルーザーのレンタル料が交際費の計算対象になるのに対し、<処理2>の方法によれば、交際費の計算対象とはなりません。キャッシュフローを別として交際費課税に限っていうと、処理2のほうが有利となります。

ただし、クルーザーの利用が私的な利用とみなされると、役員への給与課税の論点になる可能性もあることにも注意が必要です。

2017年11月13日