012.固定資産の含み損の実現化

固定資産に生じている含み損失は、金額が巨額となっているケースもおおく、その含み損を実現させることで、節税効果も大きい。
しかし、不動産については現に使用中のものを第三者に売却することは容易ではないし、現実問題としてできない。
そこで、関係会社やオーナー個人に売却を行い、含み損を実現化させ当該不動産を賃貸借する、いわゆるセールス&リースバックの形式を採用することがある。

<不動産の譲渡にあたっての留意事項>
1.購入側で資金調達をし、決済を行うこと
2.時価の算定を明確にすること
3.移動にあたって購入側でコスト(登録免許税、取得税等)の発生のあること
4.売買契約書の作成と所有権移転登記を行うこと
5.購入することにつき経済的な合理性があること
6.グループ法人税制の適用がある場合は、譲渡時点では「損金」は認められない

<租税回避にあたるどうか>
上記の留意事項をクリアした際にこの不動産取引について租税回避の認定がなされるであろうか。現実に不動産取引が正常に行なわれているなかで、当局がこの取引を否認することはその他の要因がなければ、難しいのではないでしょうか。

<グループ法人税制外し>
グループ法人税制の適用を逃れるために、例えば1株のみを第三者に譲渡ししたようなケースでグループ法人税制外しが認められるでしょうか。
従業員持ち株会(あるいは幹部社員の持株会)を発足させ一定割合の株式を所有した場合、あるいは社団法人が株主となった場合など、様々なケースも考えられます。
また、購入者がオーナー個人であるとした場合はどうか。

これらについては一つ一つ個別に検討していくしかありません。

2017年8月21日