008.短期前払費用の活用

「短期前払費用」というものはご存知でしょうか。その事業年度においてまだサービスを受けていないものの対価をその事業年度内に支払った場合、一定の条件のもとにその事業年度の損金として認められる、という規定です。以下で規定と具体例を示します。

法人税基本通達2-2-14(短期の前払費用)

法人がその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、その支払い時点で損金の額に算入することが認められます。

<前払費用とは以下の要件を満たす費用>
1.一定の契約に従って継続的に提供を受けること。すなわち、等質等量のサービスがその契約期間中継続的に提供されること。
2.役務の提供の対価であること。
3.翌期以降において時の経過に応じて費用化されるものであること。
4.現実にその対価として支払ったものであること。
5.その他 借入金を預金、有価証券などに運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められません。

<短期前払費用で認められるもの>
・賃貸借契約に基づき、事務所等の家賃を毎月月末に翌月分の家賃を支払う。
・賃貸借契約に基づき、事務所等の家賃を毎年3月に4月から翌年3月分の家賃を年払いで支払う。
・生命保険料を年払契約に基づき支払う
<短期前払費用で認められないもの>
・顧問税理士に1年分の顧問料を支払う・・・等質等量のサービスでない
・月払契約の賃貸借契約であるが、年払いを行った。・・・契約に基づかない
・賃貸借契約に基づき、事務所等の家賃を毎年3月に向こう3年分を一括で支払う。・・1年分でない

2017年7月24日