041.一般社団法人を利用した従前の節税スキームの制限

<従前の方法>
一般社団法人に持分が存在しないことに着目して、例えば一般社団法人に同族法人の株式や収益不動産等を保有させて、被相続人の財産の分離を図りながら、実質その社団法人の理事職に相続人が就き支配の継続を図るものです。

<改正>
相続が発生した場合に、被相続人が理事であった(当該一般社団法人等の理事でなくなった日から5年を経過していない者を含む)一般社団法人等について、次のいずれかの要件を満たす場合は、その一般社団法人等の純資産額を、その時における同族理事の数に1を加えた数で除して計算した金額を、その一般社団法人等が遺贈により取得したものとみなして相続税を課すことにしました。

<ポイント>
1. 公益社団法人、非営利型法人は適用外
2. 相続時に同族理事が過半数を占める法人、及び相続開始前5年以内において、同族理事割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上の法人が対象
3. また、この同族理事の範囲には、被相続人が支配している法人(株式会社等)の役員や従業員を含むとされています。
4. 課税されることになった一般社団法人等には相続税の2割加算の適用がある
5. 相続時の純資産額を相続時の(同族理事数+1)で除した金額が、その一般社団法人が遺贈で取得した財産とみなす。

<課題点>
1. 非営利型社団法人は適用外である。
2. 非同族理事を増加させて、適用外とすることもできる。
3. 理事を辞任して5年経過後は適用がない。早めに辞任した場合は適用外となる。
4. 推定被相続人を当初より理事に就任させない、という選択もある。
5. 相続時の純資産額を相続時の(同族理事数+1)で除した金額が相続財産となるので同族理事を増加させて、加算される相続財産の希薄化をはかることができる。

<適用>
平成30年(2018年)4月1日以後の一般社団法人等の理事等の相続より適用となります。
ただし、同日前に設立された一般社団法人等については、令和3年4月1日以降の相続より適用があり、それまでは一定の軽減措置があります。

2019年9月17日