039.上場有価証券以外の有価証券の減損、譲渡損

法人が所有する未上場株式について、評価損が生じています。これらの対応について。

1. 減損処理を行う
法人税33条の資産の評価損の計上について定めをうけて、法人税施行令68条1項2号ロにおいて、「その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと」により、当該有価証券の価額がその帳簿金額を下回ることになった場合には、その有価証券につき評価損の損金算入を認めています。

この場合の「発行する法人の資産状態が著しく悪化」とは次のいずれかの事実がそれに該当します。
① 当該有価証券を取得して相当期間経過後に、発行法人が、特別清算、破産、再生手続、更正手続、のいずれかの開始の命令・決定のあったこと。
② 当該事業年度終了の日における当該有価証券発行法人の1株(1口)あたりの純資産価額が当該有価証券を取得したときの当該発行法人の1株(1口)あたりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと

2. 譲渡損失の計上
法人が所有する未上場株式について、その時の価額をもって譲渡した場合は譲渡損の計上を行うことになります。
この際、譲渡の相手が同族関係者である場合は注意が必要です。完全支配関係にある法人間の取引については、グループ法人税制の適用があり、これらの譲渡損は税務上の「損金」とはなりません。

完全支配関係にない法人間取引、あるいは法人とオーナー個人との取引については、これらの制限はありません。
ただし、これらの取引については、「租税回避」とみなされるおそれがありますから、下記の点について注意してください。

① 株式の譲渡にあたって、売却側、購入側に合理的な目的があること
② 株式の譲渡契約書を締結すること
③ 株式の価額についての裏付けをもっておくこと
④ 契約書に買戻し特約などの条項をいれない
⑤ 契約内容(譲渡代金の支払い等)についてすみやかに履行すること
⑥ 株券発行会社の場合は、売買当事者間で株券の授受が必要です。株券発行会社でるにかかわらず会社が株券を発行していない場合は、会社に株券の発行を受けてください。
⑦ 譲渡制限の付された株式については、発行法人側の承諾をもらうなど、法的手続きを履行する
⑧ 発行法人側の株主名簿の書換えを行ってもらうこと
⑨ 売買日以降は、購入者が株主の権利の履行を行うこと

2019年7月22日