038.個別催告の省略

会社が組織再編(合併)を行うとか減資等を行う場合、債権者保護手続として、異議があれば申し出るように求める内容を官報に公告し、更に「知れたる債権者」に対しては個別に催告を行わなければならないとされています。
会社に取引先も多く債権者が多数いる場合などは、非常に手間を要します。

この個別催告を省略する方法があります。下記のいずれも満たすことです。
① 定款に公告媒体を「日本経済新聞などの日刊新聞紙」又は「電子公告」と規定すること(当然ですが、公告の登記も必要です。)
② 合併等の公告を、官報及び会社が選択した上記の公告方法の双方に掲載すること

すなわち、「官報公告+日刊紙」か「官報公告+電子公告」とすることで、個別催告を省略することができます。

日刊紙というと、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞などを連想しがちですし、なんとなく敷居が高いイメージですが、要件としては「日刊紙」であればよく、日刊紙を選択したといっても巨額のコストがかかるわけでもありません。

実務的には、少額の債権者には個別催告をしない場合もありますが、少額とはいえ債権者の一部に個別催告をしない手法は、手続全体に瑕疵が残りますので、原則として好ましくありません。上記省略方法であれば、法で認められた手続ですので瑕疵はなく、
かつ個別催告漏れをするというリスクがなくなります。

2019年7月16日