1. 意義
経営力向上計画とは、中小企業の人材育成やコスト管理、IT活用、生産性向上など経営力向上を目指して策定される計画書のことです。この計画書について国からの認定を受けた事業者は、中小企業経営強化法に基づき、様々な支援を受けることができます。税制上の特典を活用したり、融資活用による資金繰り支援などです。
計画書には自社の概要、現状や課題について、経営力向上に関する目標やその施策などを記載する必要があります。
2. 特典
① 固定資産税の軽減措置
経営力向上計画に基づき購入した設備にかかる固定資産税が、3年間半額になります。
⇒新固定資産税特例に改組され、平成30年6月6日から平成33年3月31日までの間において取得されるものに係る固定資産税について,課税標準を最初の3年間価格にゼロ以上2分の1以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額とする措置を講じることとされました。
② 中小企業経営強化税制
青色申告書を提出する中小企業者が、認定を受けた経営力向上計画に基づいて一定の設備を購入した場合には、即時償却または取得価額の7%(資本金3,000万円以下の法人等は10%)の税額控除を受けることができます。
③ 金融優遇
日本政策金融公庫からの設備資金の借入について、0.9%金利が引き下げられます。また、商工中金からも低金利の融資を受けることが可能です
④ 補助金の優先採択
補助金支援
3. 経営力向上計画の策定と実行
<STEP1>
・経営力向上計画は中小企業を対象としていますから、そもそも自社が対象企業かどうかの確認を行ないます
<STEP2>
・経営力向上計画の策定後において、労働生産性などの経営力の向上の程度を示す「指標」が伸びるような計画を策定します。
・この段階で経営革新等支援機関からの支援をうけることが可能です。
<STEP3>
・経営力向上計画を主務大臣に申請を行い、認定をうけます。
<STEP4>
・税制措置や金融支援を受け、経営力向上のための取り組みを実行します。
4. その他の併用
経営力向上計画は、平成30年度税制改正において、中小企業における所得拡大促進税制において、上乗せ措置を受ける場合の要件となっています。
すなわち、適用年度終了日までに経営力向上計画の認定をうけており、経営力向上計画に基づき経営力向上が確実に行われたことにつき証明がなされた場合は、所得拡大促進税制の上乗せ措置を受けることができます。(この上乗せ措置は、教育訓練費の増加要件で適用をうけることもできます。その場合は経営力向上計画での要件は不要です。)