028.民事信託(家族信託)

よくある質問に以下のようなものがあります。
両親は預金・不動産などの財産がありますが、高齢でもあり認知症を心配しています。認知症となったら、これらの資産について、預金の払い戻し、不動産について運用・処分・契約行為などができないと教えられました。
どういう対策がありますか?

民事信託(家族信託)のもっとも想定されるケースが上記のようなものです。
本人が認知症となった場合は、契約行為の当事者となることが制限されますので、預金の解約、不動産についての新規の契約、家屋の修繕といった行為もできなります。
すなわち、本人の意思確認を必要とされる取引については、すべて制限されることになります。

そこで、ご家族のうちに信頼に足る、例えば長男であれば長男に、信託契約によって財産の管理、運用、処分(これらを信託目的といいますが)を任せるとする契約を交わすことで、長男に信託目的の範囲でその権限を与える行為が民事信託です。
一般的に、家族間で信託契約を行うことになるため家族信託ともいわれています。
先のケースですと、信託契約において、いったん財産の名義を長男に変更することになります。

信託法上、財産を委託する人を委託者(親)、委託される人を受託者(長男)、それによって利益を受ける人を受益者(親)と呼びます。委託者と受益者が同一人である場合は、自益信託といって、信託契約を行うことで課税上の問題も生じません。

先に認知症対策と申しましたが、財産管理の明確化、遺言の代わりとしての機能、それ以外にも幅広い利用が可能です。一度検討をされてはどうでしょうか。

2018年12月24日