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「ダム経営」VS「コーポレート・ガバナンス」

今朝の日本経済新聞の一面のコラム(春秋)に松下幸之助氏の提唱するダム経営を取り上げている。
ダム経営とは「設備や資金等をダムにいれておき、必要に応じて使う。要らないときはダムで余らせておく。こうしたことができなくては安定経営は生まれてこない」
1965年の関西財界セミナーで説いたという。前年の東京五輪後の景気減速で企業倒産が広がり始めていたときだけに、松下氏の話は聞き手の心に響いたのだろう。ダム経営はその後の多くの経営者の指針となった。

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一方先日、村上世彰氏の生涯投資家という本を読む。村上氏の村上ファンドといえば正直なところ、グリーンメーラーのようなイメージでみていたが、この本を読むとなかなかどうしてコーポレート・ガバナンスという観点より、投資家として活動を行っていることがわかる。

コーポレート・ガバナンスとは、投資先の企業が健全な経営が行われているか、企業価値を上げる=株主価値の最大化を目指す経営がおこなわれているか、株主が企業を監視・監督するための制度だ。(同書P31)
企業がもつ資金や資産を事業に十分活用できていないと思われる場合に、どうような活用していく計画があるのかをヒヤリングし、企業価値の向上という視点から納得のできる回答を得れない場合には、次の3つの提案をするという。
第一に、より多くのリターンを生み出して企業価値を上げるべくM&Aなどの事業投資を行うことを検討し、中期計画などに盛り込んで、きちんと情報開示してほしい、
第二に、もしこの先数年、有効な事業投資が見込めないのであれば、配当や自己株式取得などによる株主還元をおこなうべき、
第三に、どちらの選択も行いたくないなら、MBOなどにより上場をやめるべき、
(以上P206)
確かに投資家としての視点からは的を得た指摘である。

村上氏の本によると、アメリカでは企業が手許資金が積みあがると、企業価値を向上させるために積極的に使われる。使い道がなければ株主に還元し、必要になったら市場から調達する、という流れが当たり前にできている。「手許に残さない」経営だ。そうやって資金を循環させることで、上場企業はさらに多くの投資を呼び込み、業績が拡大する。それが株式市場のみならず、経済全体の成長につながっているのだ。
実際、アップルとマイクロソフトの財務諸表を使って、この構図の説明を行っている。

日本企業が世界市場で戦うといことは、実はこういうことであると妙に納得させられた。

(「春秋」には、ダム経営の宣言後も、松下氏の創業した現在のパソニックは投資すべきところには投資していた。海外の製造販売拠点づくりや研究所の拡充などだ。と指摘している。村上氏のいう事業投資である。)

2017年7月20日

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