「木曽路はすべて山の中である。」とは藤村の「夜明け前」の冒頭であるが、妙に木曽が好きで、たびたび訪れる。実際見渡せば山のむこうにも山があり、藤村の文章とおりの風景が広がっている。このシルバーウィークにも出かけた。
自宅から車で5時間もあれば、木曽福島に着く。宿もいつも同じところで、女房がいく漆器屋さんも同じ店である。お椀などを買ったり、眺めたりしてぶらぶらと過ごす。今年は結婚した娘のために、おひつなどを購入する。
御嶽山まで出かけたり、開田高原のアイスクリーム屋にいくのも恒例である。美味い蕎麦屋があって、その店の天ざるを食べるのも楽しみである。奈良井宿や平沢に出かけるのも楽しい。今回は前から気になっていた御嶽の霊場を何箇所か観る。なんとも表現のしがたい畏れのような空気に触れる。
出かける前に読んだ小説「決闘!関ヶ原」のなかに、徳川秀忠が信州上田の真田昌幸にてこずったあと、徳川の主力3万8千を関ヶ原に急行させるが、木曽路の悪路に手間取り決戦に間にあわない様子が描かれているが、その当時の細い街道に思いをはせながら、国道19号線を渋滞にならないうちに帰宅した。