仕事

 昨日の新聞(日本経済新聞)に2つの記事が掲載されていた。

 将棋の内藤九段が現役最後の対局(2014)の2日後に行われたイベントでの講演の話。「若い頃は勝つために将棋を一生懸命指していた。それが苦しくて、辛かった。近年は勝ち負けにこだわらず将棋を楽しむことを重視したが、少しも楽しくないのだ。将棋は勝とうと緊張して指してこそ素晴らしいゲーム」

 もう一つは、「こころと経済学」の連載「幸福とは何か」で、「・・ブランド消費は、その商品を(購入することにより)人から評価されるという社会的承認を得て、幸福を感じる。・・中略・・・したがって、人が求めているのは社会的承認である。」「引きこもりがちな人の就労支援の中で最も人気があるのが、犬の散歩の代行だそうです。自分が世話することによって、犬の喜ぶ姿が見られからだといいます」

 この2つの話は「仕事」の本質を突いているように思いました。

 「仕事」はある意味、その最中は苦しく辛いのであるが、工夫をしてやり遂げていく、その真剣味・緊張感のようなもの(内藤のいう勝ち負けのこだわり)があってこそ、後になって「楽しく」思える。
 また一方において、「社会的」とまではいわなくとも、仕事の依頼主(あるいは上司かもしれない)よりの「承認」を得ること、あるいは感謝されることで、幸福感・満足感が得ることができ、バネとなって次につながるのである。
 緊張感も承認(感謝)もない仕事は、本来仕事とはいえないのかもしれない。
 
 それにしても、ゴールデンウィークの最中に、ついつい仕事のことを考えてしまう私も困ったものですね。

投稿者:春田 健2015年5月1日