過去に何度か、顧問先の社長、奥様、ご家族とのお別れを経験してきている。お別れの形は様々であるが、つらく切ない思いがこみ上げるのはいつも同じである。
昨日の月曜にあるお客様より電話を頂いた。先週より事務所の担当者が、何度か連絡をしているが連絡がもらえないというので、なにか予感のようなものもあり、私が先週の金曜に会社に連絡していたのである。
昨年の末ごろの検査で社長の奥様に癌がみつかり、暮れに入院され治療を受けられていた。私が訪問した今年の2月には退院もされ、抗がん剤により治療を続ける、でも気力もあり負けませんからと笑顔でおっしゃっておられた。その言葉の力強さに私も妙に安心していた。
昨日連絡を頂いたのは社長のお嬢さんからで、「連絡がおそくなりまして・・・、実は母が先週の金曜に亡くなりまして・・今日の午後より葬儀です」と。一瞬、すぐに意味が理解できないでいたが、社長に電話が変わり、「急なことですが・・・」と事情を聞く。
そのお客様とは開業当初より20年以上も顧問をさせていただいており、会社も関与当初は小さな工場であったが、社長と奥様の2人3脚で今は20人規模のその業界では知られた専門工場となっている。奥様は本当にいつも朗らかで、よく笑い、会社の苦しいときも、社長や従業員の支えとなっていた。今は長男が専務として会社の運営を担い、お嬢様が経理関係をみて、ここ2~3年は、楽をさせてもらっているのよと、孫の話などもよくされていた。
社長ご夫婦からは本当に良くして頂いていた。奥様は私のことを「せんせい、せんせい」と呼び「奥さんを大切にしてくださいね」というのも常套句であった。
2月に訪問した際、打ちあわせが済んで会社(豊中)の近くで社長ご夫婦、お嬢さんと4人で食事(ランチ)をしたあと、奥様より「娘と梅田で買い物があるから、事務所まで車でお送りしますね」と言われ、車で梅田にある私の事務所のビルの地下駐車場まで一緒に来た。駐車場のEVで別れるときに、奥様が私を視て、「せんせい、いつまでもお元気でね」と小さく手をふり言われ「なにを言っているのですか」と答えたのが最後の会話となった。
こころよりご冥福をお祈りいたします。