独立して正解?

 先の原稿であずさ監査法人の会計士が入社したことを記載したが、私もあずさ監査法人のOBであり、彼と話をしていると共通の会計士の名前が挙がったりして、しばし懐かしい思いや、自分も法人に残っていれば今頃どうなっていただろうかとの思いが生じた。
 自分で言うのもどうかと思うが、監査法人時代はまじめに監査の仕事に従事していた。巨大クライアントに向かうときは、本当に監査チームの一員ということで、与えられた仕事(ルーチン)をこなしていく。これは、ある意味パーツのようであるが、チームで仕事をしている意識もあって、それなりに楽しいものであった。
 仕事をペーパーに残すこと、エビデンスを整理すること、聞きた内容の整合性を自然考えるようになることなど、現在の仕事の基礎になることは、監査法人時代の勤務のおかげであると、本当に感謝している。
 また自分で工夫しながら異常な取引をサンプルして、ヒヤリングを重ねるうちに営業から赤裸々な取引実態を聞き出せたときは、それはうれしいものでした。あるいは会計処理等の誤り(時に不正)を指摘していくことも、充実感のようなものもありました。
 このように現場レベルにおいても公認会計士監査の企業実務に対する一定の役割(指導性や牽制効果)も実感し、また資本市場における社会的役割というのも理解していたのであるが、どうも監査の仕事を大組織のなかで長期間するのは違和感があり、早い時期に独立した。(大型船のクルーとなって大海原を渡っていくのか、ボートのようなもので自ら操縦していくのか、ということでしょうか)
 また仕事の質という面でも、監査の仕事とちがい税務の場合、クライアントと対峙するというよりも、一緒になって考えるといった面があるし(事はそう単純ではないのですが)、私個人とクライアントという関係性で仕事を行っていく緊張感の方が自分には似合っていると感じ、独立して良かったと「今」一人で納得しているのである。
 第一、今さらどうしようもないし・・ね。

投稿者:春田 健2014年7月23日