読まれた方も多いと思いますが、先週土曜日(2014.5.10)の新聞に2つの税務訴訟の記事が大きく報道されていました。また、今朝(5.12)の日本経済新聞にヤフー訴訟(合併に伴う子会社の欠損金の引継)の記事が載っていました。
土曜の記事の1つ目がインターネットを利用して競馬の馬券を購入して当たり馬券の払戻金について申告していない個人についての訴訟について。無申告について納税者に非があることについては異議のないところであるが、外れ馬券を必要経費と認めるかどうかについて争っていたものである。本件の所得が税務署(国)のいう「一時所得」であれば経費と認められず、「雑所得」(営利を目的とする継続的な経済行為・もしくはそれに準ずる行為)に該当すれば、経費と認められるものである。今回は2審判決であり、一審と同様納税者の主張が認められた。
もっとも、外れ馬券が経費として認められたのは、今回のような事案の規模で競馬の馬券の購入を行っていたためであって、通例の場合は一時所得に該当することになろう。
それにしても、どれぐらいの人が当たり馬券について申告しているでしょうか。この件に限らず行政は、ある行為が法律に違反した場合であっても、それが軽微・臨時的な場合については、比較的寛容であるけれども、それが多額であり継続的反復的(目に余るようなとき)な場合、一罰百戒という意味もこめて、ビシッと来ますね。
土曜日の今一つの記事はIBM事件である。IBM・ヤフー事件ともに、会社がおこなった行為が租税回避行為にあたるかどうかについての争いである。IBMは納税者が、ヤフーは税務署(国)が勝訴している。
租税回避行為とは、1つ1つの行為は税法の規定通りの行為であるけれども、全体としてみたときに、租税回避(のみ)を目的として行われたと認められる行為をいい、税務署はその行為を否認できることとしている。
経営者の「財務面」からみた役割は、企業の中期的なキャシュフローの極大化を計ることにあると考えています。そうすると、売上を増加させることも、税金の支払いを減らすことも、キャシュフローの増加ということでは等価ということになります。
したがって、節税を計ることは経営者として当然の責務ですが、このような税務訴訟をみると、どこまで踏み込むか、その場合のリスクはどうかと改めて考えさせられます。
ただし、仕掛けていかないことにはメリットの享受(キャッシュフローの増加)をうけることができないのも事実なのである。