琵琶湖(ほぼ)一周サイクリング

 今回は大学(静岡大学)時代に所属していたサークル(山岳部)の部報「紫岳13」に投稿した原稿2編(「琵琶湖(ほぼ)一周サイクリング」「原先生のこと」)を載せます。
 「琵琶湖(ほぼ)一周サイクリング」で冒頭登場する大学の先輩が、先に投稿(気がつけば、もう春が来ていました)いただきました横田様です。横田様は大手生命保険会社を退職されて、現在自宅(西宮)と故郷(徳島)を行ったり来たりの生活を送られ、充実したブログも公表されていますので、そちらの方もご覧ください。

琵琶湖(ほぼ)一周サイクリング           2012.9.25 春田 健

 下の息子が高校2年生のときですから平成17年10月の連休を使って、琵琶湖一周サイクリングの計画を立てました。
 この計画には下地があって、大学の先輩とゴルフにいく機会があり、彼が単身赴任先の大津で同僚と琵琶湖一周サイクリングをしたと聞いたことがきっかけでした。
 女房、子供に話すと、つきあってあげてもいいよ、といったニュアンスの同意をえたので、さっそく車でロケハンを行い、またインターネットで調査を行いました。インターネットを見ると、琵琶湖一周サイクリング(約200K)は非常に人気のたかいイベントであることもわかりました。日常生活でほとんど自転車にのることはなかったのですが、「200Kぐらいなんとかなるわい」という気持ちでした。

 気候がベストの10月を選び、当日は朝早く自宅をでて長浜(長浜サイクリングターミナル)で自転車を借りました。当初計画のとおり自転車は2台として、家内と娘に車でバックアップしてもらうという、結構贅沢なサンクリングとなりました。
 まずは快適に自転車をこぎ北に向かって進みました。しかし雨がぽつぽつと降ってきて、そのうちに強烈な豪雨となったのです。カッパを着込んでも、雨粒が痛いぐらい強さで身体をたたきつけます。たまらず、田んぼの農具の置いている小屋の軒下で雨宿りをおこない、どうしようかと息子と相談すると、今さら引き返せないし雨でも行こうよとなり、意を決して、再び飛び出していきました。
 しかし、雨以上に参ったのは、お尻が痛くなることでした。当たり前のことながらサドルが尻にあたり、じわじわと痛みが増し、それから2日に渡って苦しめられることになったのです。息子も同様の様子でお尻を少し浮かすような感じで漕いでいました。
 インターネットで調べたなかで、一番の注意点とされていた琵琶湖の北端の賤ヶ岳トンネルの入り口につきました。トラックが結構のスピードで通り抜ける横を、気を引きしめて、車道から少し高くなっている横幅の短い歩道部分を息子に10mぐらいの間隔をあけさせて通り抜けました。
 トンネルを抜けると、眼下に琵琶湖とドライブインのようなサービスエリアが見えてそちらに向かいました。
 携帯で連絡をとりしばらくして家内と娘の車が到着しました。乾いた衣服に取替え、ラーメンをすすり、一服して人心地ついたのです。
 しかし、気を張りつめていたのか、この段階では疲れたという気もなく、今度は南に進路をとり進みました。
 しかしここからが、お尻の痛みとの対決であり、ほんとうに苦しいものになりました。おそらく、本来のサイクリングパンツはお尻にパットのようなものが当たっており、サドルとの緩衝材となっていると思うのですが、なにしろ、そういう準備もなく普通の綿パンでサドルの堅いサンクリング車を借りたものですから、お尻とサドルの接触部分が摩擦状態となり、ひたすら耐えながら雨のなか風景を楽しむこともなく進みました。途中道に迷い4~5Kほどロスしました。
 家内の車と再度、2時ちかくに合流して一緒にランチをたべました。その際には結構へばっていましたが、「どう、いけそう?」「まあ、行くだけいってみるわ」といった会話をして、雨中のなかをすすみました。夕方フラフラしながら白髭神社に到着しました。お参りをして、あと少しだと励ましあい、今日の行程の終了である近江舞子まで辿りつきました。到着時には全身ずぶ濡れのヨレヨレといった感じでした。
 近江舞子では、予約していたホテルに家内たちはすでに到着しており、われわれもまず風呂にはいり、寒さと疲れを癒しました。お風呂が大変うれしいものでした。

 翌朝は、昨日と打って変っての快晴。お尻は痛いままではありますが、朝風呂にもはいり、気分爽快で「行ってきます!」という感じで出発しました。
 しがらく走っていると、次々とサイクリングをしている人たちと出会うようになりました。昨日は雨で誰ひとりあうこともなかったのですが、今日は絶好のサイクリング日和なのか、一日中カラフルな服装をしたサイクリングを楽しむ人と出会うこととなりました。
 調子よく、しかし、昨日からの尻の痛さをがまんしながら、堅田の手前の琵琶大橋にかかりました。琵琶湖一周を本当にするのであれば、このまま大津まで走る必要があるのですが、「どうする?」「今回はショートカットしちゃおうか」ということになり、琵琶湖大橋を渡り、最南端部分をパスすることにしたのです。したがって、今回は琵琶湖(ほぼ)一周サイクリングとなったのです。
 琵琶湖大橋を渡ったあとは、湖畔沿いのサイクリングロードを気持ちよく走るのですが、途中から家内と娘から「ちょっと変わって」となり、私と娘、女房と息子、私と女房といったように、自転車の乗り手が代わり、湖畔ぞいを北上しました。
 女房たちも少し走ると気がすんだのか、再度、息子と2人でお尻を摩りながら前にすすむ時間がやってきました。昨日の疲れと慣れない長時間サイクリングにペースは落ち、夕暮れときの琵琶湖を息子と2人でゆっくりと走りました。人通りもめっきりへり、走りやすくなった道を私が先頭で4~5mあとを息子が追走して黙々とすすみます。目印にしていた長浜ドームがみえたときには、さすがに安堵しました。ドームを右折して出発地点の長浜サイクリングターミナルへの坂道を登っていきました。

 サイクリング時には詳細なコースタイムをつけていたのですが、その際の資料が探してもでてきませんので、時間等の紹介ができないのが残念ですが、今も家族のよい思い出となっています。次回はしまなみ海道を走ろうという予定がまだ果たせていません。

投稿者:春田 健2014年3月26日