監査役の責任

11月22日の日本経済新聞が「名ばかり監査役に一石」として、監査役が従業員の横領を見落とした場合、責任は問われるかを争った事件を紹介している。
横領を見抜けなかった元会計限定監査役の賠償責任を巡る裁判で最高裁は、「責任なし」とした高裁判決を破棄し、審理を差し戻したというのである。

高裁判決が「特段の事情がないときには、会社作成の会計帳簿に不適正な記載があることを(中略)積極的に調査発見すべき義務を負うものではない」などとし、責任はないとした。これに対して最高裁は、「計算書類等に示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認すれば、常にその任務を尽くしたといえるものではない」などとして、高裁判決を破棄したというのである。

 監査役が常勤なのか非常勤なのか、また監査役報酬がいかほどであったなど周辺の情報の記載はないが、それにしても厳しい判決でコンプライアンスの時代であることを改めて感じました。

投稿者:春田 健2021年11月25日