顧問先のA社(合併法人)とB社が合併することになった。A社B社はメーカーと小売りのような関係の法人で2社とも私どもの顧問先である。
A社もB社もコロナ禍のなかにあって、業績は悪化しており今回の合併についても、効率化やコスト削減を狙ってのことであった。
実際の合併の手続きに債権者の保護手続きがある。金融機関はいうまでもなく最大の債権者でもある。B社側はすでに金融機関の報告等は完了しており、A社の代表が各金融機関に順次その報告に訪問されることになった。その際にメガバンクの一行から、今回の合併につき反対するとの表明をうけたというのである。
合併において債権者よりの異議の申し立てがある場合、一般的には借入金額の一括返済をするか、十分な担保提供を行うことが定められている。A社はすでに不動産担保や動産を担保提供していたが、さらに代表者個人の預金を担保に提供するなどの提案をしたが、話がまとまらず最終的に今回の合併を見送ることとせざるを得なくなった。
また、ある法人から次のような報告もあった。やはりメガバンクであるが、現在手形借入を行っており、従前は期日毎に自動延長をしていたが、期日直前になって次回の延長はしないとの通告をうけたというのである。会社側は延長を前提に資金計画をたてていたので、この通告によってリスケを選択せざる得なくなったのである。
もちろん、メガバンクに違法性はなく、ある意味、当然の権利行使を行ったのかもしれない。しかし、メガバング以外の金融機関が会社に協力的な姿勢のなかで、なにとも後味の悪いことである。