周回遅れのランナー

  •  ずいぶん以前に読んだエッセイを思いだすことがある。もう記憶もあいまいだが、概ね次のようなものだった。
  •  オリンピックの1万メールトル(?)競技のTV中継で、先頭のランナーが、最後尾の選手を追い越しゴールした。さて、最後尾の選手は、その後周回遅れでゴール地点にたどり着いたが、その選手はゴールを超えてさらに走っていくのである。なんのことはない、先頭選手に2周以上の差があったのである。観客席からは励ましの拍手と笑が相半ばするも、順位はもちろん記録ももはや問題にならなくなり、しだいに観客の関心もなくなっていく。

  •  この話を時に思い出すのである。我々もこの周回遅れのランナーのような立場にたつことがある。仕事が後手となり、すでに結論のでた後でそのプロセスの組み建てを行うようなケースがそうだ。結論がでているので、時間が無駄だからといってもう手放すのか、もともとなすべき仕事をなすとの態度をつらぬくのか、というようなことである。
  •  もちろん、ケースバイケースの判断となるが、どちらを選択しても、苦い決断である。

投稿者:春田 健2020年7月16日