6.1の新聞のコラムに、志賀直哉の文章が引用されていて、気になって、ネットで調べてみた。孫引きですが、それは志賀直哉の晩年期にかかれた『ナイルの水の一滴』と題する短文のなかにありました。
「人間が出来て、何千万年になるか知らないが、その間に数えきれない人間が生れ、生き、死んでいった。私もその一人として生れ、今生きているのだが、例えて言えば、悠々流れるナイルの水の一滴のようなもので、その一滴は後にも先にもこの私だけで、何万年遡っても私はいず、何万年経っても再び生まれてはこないのだ。しかも尚その私は、依然として大河の一滴に過ぎない。それで差し支えないのだ。」
新聞のコラムは、そのあと村上春樹の雨粒の一滴につづくが、それはまた次回に。